過去の就業先の話です。
その派遣先には「お茶出し」がありました。
といっても男性社員に出していたわけでもなく、来客もちらほら。
私が毎日のようにホットコーヒーをお出ししていたのは、業務委託契約の先生がたでした。
派遣先の会社さんは「ワンランク上のビジネスマナー(接遇)研修」を提供するとしていて、新卒向けのビジネスマナーだけでなく、販売スタッフさんの言葉遣いや所作を変えることで云々…
先生と呼んでいる方々に研修をやってもらっていました。
社内の一般事務で働く派遣の私も、1日だけ研修を受けてから就業を開始しました。
身だしなみ、電話応対、名刺交換、応接室にお茶を出す際の手順とか。
…で、先生がたが社内に打ち合わせに来られるたびに、
係長「コーヒーお出しして」。
と言われていたのです。
私は研修で習った手順を崩すことなく、陶器のカップでお出ししてました。
この会社、日本茶も紅茶もなし。夏の麦茶もなく、年中無休でホットコーヒーです。その代わりというかお金のかかってそうなマシンがありました。
先生と呼ばれる方は70人程います。仕事受諾の都度オファーする形式で、会ったことも連絡したこともない先生もいれば、
人気のある先生は毎日のように顔を合わせる=私に毎日のようにコーヒーをだされる。
先生「もういいわよ。気を遣わないで」
と、仰っていたけれども。
もしコーヒー好きであったとしても、私が会社の給湯室の水を入れてマシンで出すコーヒーが良いわけでもない。
紅茶の方がいいなって人もいるでしょうし。
健康に気遣う人ならそのどちらも口をつけたくないかもしれません。
でも派遣の私、係長に「出しなさい」と言われれば出すしかありません。
(も、いいでしょう!と言う勇気はなかった)
残していいんですよ、とも言えず。
毎日のように来社される先生、まったく飲まないのは失礼と思ってしまうのか、いつも少しだけ口をつけておられました。
果たしてこのお茶出し…無駄な配慮になってないだろうか。
出す私は係長に言われたから出してるだけ、そこに先生の希望は伺ってない。
出された先生のほうは、飲みたくないときでも無理して飲んでいる。
(これってホントに接遇…?)
と、いう疑問がわいて1年がたつころ。
係長「先生方がいらしたからコーヒーをお出しして!
今日は大先生の二人と、I田先生もいらしたから3つで」
私「I田先生…? そんなお名前の先生いらっしゃいましたっけ?
I田ちゃんなら知っていますがI田先生は知らない…」
係長「アナタ!ちゃんづけとはなんですか!?
ウチはマナーがキチンとしている会社なの。
たとえ後輩だろうが仲が良かろうが、ちゃんづけ、あだ名で呼ぶのはいけません ❗
…そうよ、アナタの後に入ってきたI田さんのことよ。
彼女は先生として働くことが希望だったのだけど、すぐにお願いできる案件がなくて。。。
待機してもらう間、アナタと同じ事務の仕事をしてもらっていた。
これからは、I田先生、と呼んでね ❗」
私「…わかりました」
コーヒーを抽出して、
陶器のカップアンドソーサーで、スプーンとスティックシュガーとフレッシュの丸いのを所定の位置において…
私「失礼します」
って、
先生方それぞれにお出ししました。
するとI田先生、自分に出されたスティックシュガーとフレッシュをわしづかみ、私の前に突きつけました。
「砂糖もミルクも使いません! I田はブラックなので!
覚えてください❗❗」
その場に居合わせた大先生、こちらを見るも何もおっしゃらず。
私は私で、ハイと言っただけでした。
…私は、
この会社の研修で習ったとおりのお茶出しを繰り返してただけで、
必ずカップアンドソーサーで、必ず砂糖とミルクを添えろと言われたからそうしているだけで。
先生がたはそれを重々承知されていました。
そこには相手が飲みたいかどうかとか希望とか皆無で
出されたほうも飲みたくなくても「ありがとう」と頑張って飲む状況で…。
こんなの、接遇でも親切でもなくね?
って常々思っていたコーヒー。
I田先生には、何かの特権のようにでも見えてたんだろうか?
喫茶店か、ここは?
社内の男性へのお茶出し風習も終焉しているというのに。
同じ事務職として毎日のように顔を合わせていたI田ちゃん。
先生になられた後顔を合わせたのはこれが最初で最後でした。
ア、アタクシガ ハケンケイヤク シュウリョウニナッタ ダケダッタ