定年退職する人を、初めて見たときの話です。
私は職歴は多くて、いろんな会社に入っては契約終了していますが、
「定年退職を迎える人」を社内で見かけたのは、
私が35歳ごろのことでした。
(定年後再雇用され、60を超える人たちと働いたことはあります)
その派遣先は、200人くらい働いていましたが、
女子率80%を占めていました。
私の配属された部署は、全員女性。
無駄なおしゃべりがひとたび始まると、
隣の部署から苦情を言われたり、
外線電話の向こうの相手にまで聞こえちゃうほど騒がしかったです…
そんなにぎやかな、女性だらけの部署へ、
ある日、ひょこっとオジサンが顔を出してきたなーと思えば。
オジサン「60歳になりました。本日が定年退職日なので…」
と、挨拶に来たというのです。
そしたら部署内のみなさん、
(たいして忙しくもなかったのに)、
なぜかいそがしくPCを打って見せたり、
オジサンと目を合わせようともせず。。。
なんだかソワソワしていました。
「おつかれさまでした」
「これからどうされるんですか」
「ゆっくりできますね」
なんて、誰も一切言いません…
(派遣社員の私が入ってきたときは、『お父さんは?』『お母さんは?』『どこ住んでるの』『何やってたの』『なんで来たの』って、めちゃくちゃうるさかったのにー)
みなさん、
(どうしよう)(なんて言っていいかわからない)って感じになってたんですよね。
私は…
あっちこっち派遣先を渡り歩いてて、
『契約終了してもまた探さなきゃいけないし!また働き場所探さないといけないし』
って思っていたんですよね…
だから、
定年なんてことをちっとも考えてませんでしたし、
(もう働かなくて結構です)って会社から言われる人がいることを、
思ってもみませんでした。能力が低かったわけでも、ミスしたわけでもないのに、辞めてくださいと言われる日がくる…
…って、自分の親が定年退職してるんだから、わかるだろーって話なんですが、
……わかっていませんでした。
(いずれ働けなくなるなら。今もっと働いたほうがいい。求職期間で空くことなく継続雇用を!)って思いが浮かんだ私。
この派遣先の契約終了後、
私は直雇用登用をめざして紹介予定派遣を受けますが、
通常派遣も含め、2社連続で雇用取消をくらいました。
取消に腹をたてていた翌々日。
新聞のトップに『リーマン・ブラザーズ 破綻』の文字が載ったのでした。
…えぇもう。継続雇用どころじゃなくなりました。
読んでくださって、ありがとうございます。